インタビュー
地域に学び防災に貢献する、 すみだの“巣”づくりプロジェクト。
システム理工学部 環境システム学科4年 山中 泰士 さん
システム理工学部 環境システム学科3年 鳥居 瑞生 さん
システム理工学部 環境システム学科4年 工藤 瑞綺 さん

すみだの“巣”づくりプロジェクトとは、昔ながらの木造建築が多く残る墨田区北部を拠点に、本学の学生が主体となって行政や地域団体と協力し、地域防災力の向上やコミュニティの活性化を目指して2016年に設立された団体です。
工藤:すみだの“巣”づくりプロジェクトに参加していた友人から話を聞いたことがきっかけで、2年次の5月にメンバーに加わりました。プロジェクトが対象とする墨田区は私の自宅から近い地域なので、水害や木造住宅の延焼火災など防災上の課題が共通していることから興味を持ちました。
山中:私が参加したのも2年次の5月なので、工藤さんと同じ時期ですね。建築のことだけに集中して学んでいると思考が凝り固まってしまうので、防災という視点から新たな知見を取り入れたいと考えたことが参加の動機です。
鳥居:私は1年次の6月に加わったので、お二人とほぼ同時期に活動を始めたことになります。環境システム学科は建築だけでなく、都市と環境について横断的に学ぶことが特徴なので、災害から地域の暮らしを守るというこのプロジェクトの趣旨も含まれています。
山中:昨年度は「多世代交流」をテーマにプロジェクトを推進しました。11月に開催した避難場所まで歩くイベント「防災遠足」には、予想を上回る130人もの方々が参加してくださいました。高齢者支援センターや児童館など、区内の施設が協力してくれたのも、イベントが盛況を博した理由の一つです。
工藤:「防災遠足」を実施するために行われた、地域の方々との企画会議に参加したのもいい経験になりました。学生生活の中では地域住民の方と交流する機会がほとんどありません。地域に暮らす方々と直に話して、日常的に意識していることや解決すべき問題について知るのは貴重な学びに繋がりました。卒業研究の方向性を定めるうえでも、参考になっています。
鳥居:私が印象に残っているのは小学生に遊びを通じて防災知識を深めてもらう「カエルキャラバン」というイベントにブースを出展したことです。私たちが学んできた理系の知識を生かして「ペットボトルライト」の工作と「割り箸の橋づくり」を体験してもらいました。小学生低学年を中心に、30人以上が参加して楽しむ様子に嬉しさを感じましたね。
山中:現地に行って街を歩き、人と触れ合うことで、座学では得られなかった情報を吸収できます。地図を眺めるだけでは、継承されてきた文化の大切さはわからない。将来はハウスメーカーかゼネコンへの就職を考えていますが、建築の仕事においても地域が持つ文化や行事の特色を大事にしながら、将来に残していくことを意識したいと思います。
工藤:私は街並みとの調和や環境に配慮したマンションを設計する会社に内定しているので、このプロジェクトで学んだ街について理解を深めるアプローチの仕方や防災の知識は業務にも役立つと考えています。地元にマンションを建てるなら、低層で景観になじむ木造建築がいいかもしれません。
鳥居:この春から共同代表に就任したので、メンバーの意見をまとめたり、外部の人と話したりする機会が多くなりました。今年度は、イベントに参加する方々がもっと楽しめるように新しい要素を加えたいと考えています。防災遠足についてはルートの変更や、解説するポイントを増やす予定です。先輩方やメンバーとも相談しながら、実り豊かな活動を続けていくことが目標です。