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支え合う力で困難を乗り越え、 循環型社会への貢献を目指す。

理工学研究科 材料工学専攻2年 大岡 飛翔 さん 理工学研究科 材料工学専攻1年 蓮井 杏奈 さん

「資源」「環境」「エネルギー」をテーマに循環型社会の実現を目指す新井先生の資源循環工学研究室に所属し、社会実装を目標とした研究に取り組んでいる大岡さんと蓮井さん。2人がこの研究室を選んだ理由と、研究の壁をどう乗り越えてきたかについて話してもらいました。

大岡:私が理系に進んだのは、高校のクラス担任だった先生に化学の面白さを教えてもらったからです。大学に入学した当時は、漠然と化学を学べたらいいと考えていたので、まだどの分野に進むかは決まっていませんでした。学部3年の時に受けた新井先生の授業で分離化学や資源リサイクルに興味を持ったことが、この研究室を志望したきっかけです。

蓮井:人に言うのはちょっと恥ずかしいんですが、私が化学を志したのは幼少期にハリー・ポッターの映画を見て、自分も魔法使いになりたいと思ったからです。私にとって、現実世界で魔法に最も近いのが化学反応でした。学部生の時に授業で学んだ新井先生の資源・エネルギー問題に対する具体的なアプローチが魅力的で、夢中になって聴講していました。サークルの先輩が新井先生の研究室に所属していて、とても楽しそうに活動していたことも、この研究室を志望した理由の一つです。

大岡:私はいま、「高性能イオン交換体を用いたモバイル型レアメタル回収システム開発」の研究をしています。めっき工場の処理工程で発生する水洗水から金属イオンを取り除いて再資源化することが目的です。モバイル型にすることで開発のハードルは上がりますが、複数のラインを1台で処理することが可能になり、コスト削減や工場の省スペース化を実現できるというメリットがあります。蓮井さんの研究も金属の分離・回収ですが、私のアプロ―チとは方法が異なりますね。

蓮井:はい、私の研究テーマは「抽出剤含浸吸着材を用いたレアメタルの回収」です。都市鉱山から貴重な金属を効率的に回収して、リサイクルすることが目的です。現状では溶媒抽出法で金属イオンを回収していますが、環境への影響が懸念されます。私の方式はシリカ粒子に抽出剤を浸み込ませ、金属イオンを反応させて吸着させるので、環境負荷を抑えながら資源循環を実現できます。まだ研究を始めたばかりで課題は山積みのため、悩みは尽きません。大岡さんが研究の楽しさや難しさを感じるのは、どんな時ですか。

大岡:私はPCを操作するだけではつまらなくて、自分の手を動かして作業することが面白いと感じます。目に見えない金属イオンを回収するために試験や分析を繰り返して、予想した結果を得られた時に喜びを感じます。以前、学会発表まで時間がないのに、何度試験を繰り返しても良好な結果が得られなかった時は大変でした。苦労した反面で、作業を効率化する方法を工夫しながら乗り切った時の達成感も大きいものがありましたね。蓮井さんもそんな経験がありますか。

蓮井:私は卒論提出まであと1カ月半の時点でテーマを変更したんです。吸着材も対象元素も一新したので、実験もゼロからのスタートになりました。当研究室では、学部4年生に1人の先輩がマンツーマンで卒論執筆を指導してくださるのが慣例になっていて、本当に助かりました。先輩が自分の研究の合間を縫って実験を手伝ってくれなかったら、必要なデータを揃えられなかったと思います。支え合いながら研究を進めることの大事さを強く感じました。

大岡:一人ひとりの研究テーマは違うけど、日常的に相談や協力することで助け合っています。新井先生が気さくな方なので、研究室の雰囲気もアットホームで、毎日笑い声が絶えません。

蓮井:新井先生や研究室の仲間は、私にとって家族のような存在です。温かく支えてもらえる環境のおかげで、困難な実験にも前向きに取り組む姿勢が身に付きました。いま就職活動中ですが、研究室で学んだことを生かして、環境や資源の課題解決に関わる仕事に就きたいと考えています。

大岡:私は貴金属関係のメーカーへの就職を決めました。入社後は金属の回収や精錬を行う予定なので、いま研究しているテーマの延長にある仕事です。就職後は研究室の経験をベースに、より幅広い分野の技術や知見を得て、新たな資源のリサイクル技術を開発したいと思っています。