インタビュー
オンラインゲームによって養われる人間の社会性を探る。
システム理工学部 機械制御システム学科4年 坂野 聡洋さん
経済システム分析研究室の担当教員である小山先生との出会いは、学部2年次のクリエイティブ産業論という授業でした。ゲームやアニメなどの産業の歴史をデータで紐解く、とても面白い授業で、特に小山先生の豊富な知識に驚きました。どんな会話をしていても私の全く知らない情報が出てきます。また、小山先生はデータを見る着眼点もすごいです。研究内容について相談すると「こういう研究を追加してみて」と的確なアドバイスをくれます。いつも困った時には助けていただきながら研究を進めています。
経済システム分析研究室の目的はゲームやアニメ業界のあらゆるデータから仮説を立て分析し検証していくことです。「経済」と名のつく研究室ですが、学生は研究室名に縛られることなく自由にテーマを決めています。私の研究テーマは「ゲームのプレイ経験とプレイヤーの社会性」です。数値化された既存のデータからゲームと社会性の関係を解き明かそうと考えています。例えば初対面のプレイヤーがオンライン空間でコミュニケーションを取りながら協力してクリアを目指すMMOというジャンルがあります。このようなゲームにはある程度の社会性が必要なので、オンライン空間のコミュニケーションがそれを向上させられると思うのです。研究の性質上、困難となるのが実態を調査し検証すること。つまりその人の社会性がゲームによって養われたものだと証明するのが難しい。また、今後は対面時に表情やしぐさ、その場の雰囲気など情報量が増えたときにオンラインと比べどのような違いが現れるのかを調査する必要もあります。具体的には本学で実施しているPROGテスト*の結果をもとに、強い関連性が見られる学生には直接インタビューを実施し、会話の内容から実態を調査しようと考えています。
研究で必要な幅広い知識を習得するために、研究室内では定期的に学生同士で輪読を行っています。最近では小山先生が推薦してくれた「因果推論」を題材にしました。かなり専門的な内容になるため、1人で学習するよりも研究室のメンバー全員で学び、意見を出し合った方が効率的に知識を深められます。このような助け合いがあるもの経済システム分析研究室の特長です。
現在、思う存分研究に打ち込めているのは両親が支えてくれたおかげです。自分のやりたいことを相談した際にはいつも快く許してくれます。また、学校から帰宅するのが遅くなっても必ず夕食を用意してくれるなど、多方面にわたって私の大学生活をサポートしてくれました。心から感謝しています。これから大学院に進学するので、まだ負担をかけることがあるかもしれませんが、一生懸命に打ち込める研究内容なので責任を持って追究したいと考えています。経済システム分析研究室で得られた知識や経験を活かして就職し、恩返しができたら嬉しいです。
*PROGテスト:専攻、専門に関わらず社会で求められる汎用的な能力を調査するプログラム