インタビュー
海外で培った多様な経験は、人生の大きな糧となる。
大学院 理工学研究科修士課程 システム理工学専攻1年 荻野 慎吾 さん
私が学部1年生の頃、当時所属していた環境システム学科で国際プログラムが始まり、第1期生として参加しました。卒業要件には英語での専門科目の履修、1セメスター以上の留学、英語による卒業研究の発表などがあります。1年次の夏休みにインドで行われた約2週間の語学研修に参加していたこともあり、親に相談した時には特に驚かれませんでした。ただ、初めての一人暮らしが海外になってしまうことを心配されていました。幼少期に英会話を習っており、英語でのコミュニケーションに苦手意識がなかったのも挑戦しようと思えた理由の一つでした。
まちづくりについて学んでいた私は、幸福度指数が高いデンマークのオーデンセという都市にある、南デンマーク大学を交換留学先に選びました。オーデンセという街は交通機関が充実しています。道の真ん中にはトラムという路面電車が走っており、車道、自転車専用道路、歩道がはっきりと区切られています。安全性が高く、とても快適な街です。
大学の課題は難しいですが、取り組む上で重要なことは、他国の学生と「ここが分からないから教えて」と勉強を教え合う能力だと思います。教え合い、深く理解することが単位の取得に役立ち、会話によって英語力も高まります。留学の利点として、このような英語力の向上ばかりにスポットが当てられますが、私は異文化に触れ自分の中の常識を見つめ直すことも大切だと思います。例えば、ヨーロッパの人は特にプライベートを大切にします。日本のように「残業して当たり前」といった感覚は皆無です。こういった考え方は、今後の自分の幸せを考えた時に、もう一度見つめ直すべきだと思いました。海外での勤務も視野に入れている私にとって、世界基準を培う良い機会となりました。
留学中にはヨーロッパを旅し、ドイツ、イギリス、オランダ、フランス、チェコ、スイス、ポーランドなどを回りました。ドイツで財布を盗まれ、フランスでスマートフォンが使えなくなるなど、色々なトラブルが起きました。困っていることを迅速に人に伝えなくてはいけないので、即効性のあるコミュニケーションが求められます。両親、大学、さらにはカフェの定員さんなど、たくさんの人に助けられて困難を乗り越えることができました。自分一人で解決しようとするのではなく、まず周りの人に伝えることが大切だと思います。大変なこともありましたが、どれも良い思い出です。留学中は他にも、デンマーク5部のサッカーチームに所属し公式戦に出場したり、バーで知り合ったポーランド人と仲良くなり一緒に旅行に行ったりするなど、約半年の留学生活で奇想天外な思い出がいくつもできました。
現在は、インドネシアの大学とのグローバルPBL*など、留学以外にも多数のプログラムに参加しています。私が経験したことをこれからもGLC*の学生スタッフとして、多くの学生のために役立てたいと思います。
将来は、日本で「愛着」に着目したまちづくり、社会づくりに携わりたいと考えています。そして、海外のまちづくりにも挑戦してみたい気持ちがあります。私が実際に過ごしたオーデンセは、住民の愛着が感じられる街でした。まちを好きになることや自分の住む場所に興味を持つことが、幸福度を上げる重要な要素になっていると思います。留学で経験した多様な学びを生かしながら、自分の手で幸福度の高いまち、社会を創りあげたいです。
*グローバルPBL:海外協定校の学生と協力して課題に取り組む、本学独自のプログラム
*GLC:留学に関する相談や、留学生への生活をサポートする、グローバル化を進める大学の情報発信拠点